Yasuhide Moriyama Keita Egami SECOND PLANET Keiichi Miyagawa Gen Sasaki BABU Aki Mitsugi Sachiko Abe

三津木 晶 Aki Mitsugi

Artist / Kitakyushu, Japan

北九州在住のアーティスト。2009年に福岡教育大学初等教育美術専修卒業後、主に油彩による絵画作品を制作してきました。テーブルクロスやソファ、食器など、身近な日常的風景からモチーフを選び出し、塗られたマテリアルを溶かしたり、削ったりしながらレイヤーを浮かび上がらせる技法で、繊細で斬新な風景を描いていきます。近年では、段ボール、ビニール袋など日用品を用いいた立体作品、レリーフ作品も制作しています。2019年にはインドネシアのジョグジャカルタでのアーティストインレジデンスに参加し、その時の経験から着想を得た、平面、レリーフ作品にも取り組んでいます。

国内外のアートフェアーにも積極的に参加しており、各方面で注目されるアーティストです。GALLERY SOAPでは、2017年の個展、2020年のグループショー NEW ORDER展に参加しています。





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The gate to hevean to make happiness 4-1
2020年 キャンパスに油彩
H.2273 × W.1818 mm

The gate to hevean to make happiness 4-2
2020年 キャンパスに油彩
H.2273 × W.1818 mm

The gate to hevean to make happiness 5-1
2020年 キャンパスに油彩
H.2273 × W.1818 mm
The gate to hevean to make happiness 5-2
2021年 キャンパスに油彩
H.2273 × W.1818 mm




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The gate to hevean to make happiness 1-1
2018年 キャンパスに油彩
H.1455 × W.894 mm

The gate to hevean to make happiness 1-2
2018年 キャンパスに油彩
H.1455 × W.1120 mm

The gate to hevean to make happiness 2-1
2019年 キャンパスに油彩
H.1620 × W.1303 mm
The gate to hevean to make happiness 2-2
2019年 キャンパスに油彩
H.1620 × W.1303 mm



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The gate to hevean to make happiness 3-1
2019年 キャンパスに油彩
H.1455 × W.1120 mm

The gate to hevean to make happiness 3-2
2019年 キャンパスに油彩
H.1455 × W.1120 mm

   



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The gate 33/100-1
2020年 合板に膠、ムードン
H.270 × W.200 mm

The gate 33/100-2
2020年 合板に膠、ムードン
H.270 × W.200 mm

The gate 0/100-1
2020年 合板に膠、ムードン
H.270 × W.270 mm
The gate 0/100-2
2020年 合板に膠、ムードン
H.270 × W.270 mm


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Sharping House 1
2019年 キャンバスに油彩
H.600 × W.600 mm

Sharping House 2
2019年 キャンバスに油彩
H.600 × W.600 mm

Sharping House 3
2019年 キャンバスに油彩
H.400× W.400 mm
Sharping House 4
2019年 キャンバスに油彩
H.400× W.400 mm


三津木晶 THE GATE
真武真喜子(インディペンデント・キュレーター)

 絵画や彫刻といったメディアがもはや古典的なものと認識されるようになった現在、それでも絵画の存続を信頼し、あるいは楽観し絵画制作を放棄しないアーティストには、おおまかに3つの態度があると思う。アニメーションやコミックスや写真の表現に寄り添い、絵画を新しいメディアの粧いで表出するもの、映像や写真や身体行為などと混在させパフォーマンスやインスタレーションの一部に絵画を潜ませるもの、そしてさらに核心的な位置には絵画史の遅延を確信しモダニズム絵画未解決の問題に取り組むものがいる。
 さて何よりも絵画に没頭し制作を続けている三津木晶は、これらのどこにいるのだろうかと考えてみた。3つめの態度にやや重複する部分もあるようでいて、これらすべてから遠のき、はみ出し、つまりは伝統回帰と見える位置にいるかとも考えられる。
 私がはじめて三津木の作品を目にしたのは、2020年の秋、博多阪急で開催された「Kyushu New Art」の展覧会場である。そこには立体や写真のほか、前述した3つのタイプにおよそ属するような絵画作品がひしめいていた。三津木の作品は、ハードエッジの抽象形態が渋い色彩で並んでいるキャンバス数点で、タイトルに相応しくNewで派手な作品が並ぶ中で、逆に異色な存在として光を放っているように見えた。そのとき、同時代を知っているわけではない若い作家なのに、まだミニマル・アートみたいな形式で絵画をやっている人がいるのか、という驚きが私にあった。しかし、ずっと後の世代が50年も前に一世風靡した形式を再現するかのような場面に遭遇したら、私は違和感よりもむしろ関心をもってしまう。アプロプリエイションなどではなく、ずっと個人的な合理の末にこの形式が出現したのではないかと、その個人的な行程をたどってみたいとの探究心に駆られたのだ。
 探究の機会はすぐにやってきた。2021年1月、GALLERY SOAPの企画展「NEW ORDER」というグループ・ショウのメンバーに三津木の名があったのでギャラリーを訪れた。そこで眼にしたのは博多阪急の作品の完成度とは程遠い、梱包材をラフに巻きつけただけの小さなレリーフ作品だった。しかしまたこの両者のギャップが、輪をかけて謎解き願望を煽ることになった。私は小さなレリーフの1点を所有することにし、それを契機として三津木本人と話する機会を得た。そこで解明した新たな事実は、探究心をおおいに満たしさらに増長してくれた。梱包材で包まれたレリーフ作品は2点ずつの組作品として考えられていたこと、すべてのレリーフ中央部には突起があったが、その形態は博多阪急の出品作であった平面絵画の中心部に置かれていた形態に通じるものだったこと、つまりは平面絵画もまた2点ずつの組作品として構想されていたことの3つである。
 数点の作品群が同様の素材やモチーフや構成からなっており、全部をくるめてひとつのシリーズと考えてもよいものと思われた。それが2点ずつの組作品であったとはどういうことなのか?しかも組と言われている2点は、他の組の2点とも僅かな差異があるだけで、2点ずつではなく、むしろ全体にこそ統一感があった。
 組作品であることは、自身が意図したことには違いないが、それをあえて明示する必要はないのだと三津木は語ってくれた。後日、これまでの制作活動をまとめた資料を見せてもらったときに、身辺の事物を描いた作品群の中に、たしかに組作品と見えるものがいくつか確認できた。卓上の食器や菓子の箱や、家の形に似たものなどだった。なんとなく容器や土台に関連するものなのか。ところが三津木の関心は、それら物体の内と外ではなく、外観のこちら側と向こう側、つまり事物の表と裏とに向かっていた。おそらく最初の動機は絵画の正面性に抗うことだったかもしれない。そのうち三津木が執着する表と裏とは、はっきりと対立項となる物理的な両面性のみでなく、両義性の中間に位置する曖昧な精神の領域をも含むものに展開していく。こちら側と向こう側が隣合わせに並んでいる。それも明確な表面/裏面とは見えない、相似する形態や視界が2つの画面に表れている。実際の視覚体験では向こう側に回ってみると、今度はこちら側が向こう側になる。それを同時に見ることは不可能なのだから、組作品として相似形を提示するものが同一壁面に並んでいる光景は、観念的な表面/裏面を示しているものだろう。
 2018年、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムに参加したインドネシア滞在中に、太陽光の軌跡を箱に貼った紙にトレースするという光の箱のオブジェを制作している。このときにはGATEの発想はまだなかったが、試作の箱を並べた写真の中にGATEの原型ではないかと思われる平行線状に枠面が刻まれた箱がひとつ含まれていた。GATEはレジデンス期間が終わりに近づき、帰国の準備のため荷物を梱包していた際に、突然思いつき梱包材を貼り付けた薄いレリーフ・ペインティングを制作したときに出てきたモチーフである(1)。滞在していたルマ・キジャン・ミヅマのスペースの門扉とそれに連なる柵の内側と外側という両面がモチーフになった。絵画作品で表面/裏面を追求してきた三津木の視線が無意識のうちに捉えた柵の両面は、世界のこちら側と向こう側を隔てる境界だが、三津木の視線にかかると「この地球という球体にゲートを開く1本のラインを引き相手との空間が現れ、今までにみていた世の中のリアリティに一つ新たな視点を加えること(2)」となる。2つの世界の境界は隔てるためにあるのではなく、単一に存在していると思われた世界が、共存する複数の世界を発見する通用口としての輪郭線だったとは!
 そしていよいよGATEがペインティングとレリーフの2種類の連作となり登場する。2018年から2019年の間に、GATEをモチーフとするペインティングを6点制作した。この連作は2021年にも続けられ、今回GALLERY SOAPではじめて発表されることになった。2019年にはペインティングと並行して、板を削って柵の形態が浮かび上がる100点のレリーフも制作した。今回の個展では、二部制となって会期前半にGATEのペインティングが、そして後半にGATEのレリーフ群が展示されている。
 表面と裏面、こちら側とあちら側の両面性に集中して三津木の絵画について考察を進めてしまったが、三津木の制作意図はもちろんそこだけにはなく、「光をもう一度体内に取り込みたいという思いから制作した(3)」と語るように、絵画の本質を光と捉える思考も見えるし、時間や記憶につながるモチーフも表わされている。また以下に述べるように、それらを支える絵画面の形成という技術的な側面を何よりも重視していることも理解できる。
 三津木の作品は、自ら組み立てるキャンバスの下地作りから始まり、そこになにかの形態を描いては、それを消去するかのように別の線や面を塗り重ね、最終的にそれをペインティング・ナイフで削っていき図と地が同一平面に置かれる平坦な表面が残るといった手順で形成される。制作過程で三津木が遠近感や奥行きを暗示するためや画面の構造を安定させるため、あるいは光が射している明暗の境界を示すために加えた斜線も、図の一部となって表面性が際立った絵画となる。
 このように三津木の絵画の多様な特質を概観すると、平坦円滑な絵画表面の下に、また刻まれたり包まれたりして表れるレリーフの表面下に、まだまだ探求すべきことが堆積しているのが見える。

 

(1) 梱包材をつかったレリーフは、2020年に制作された家型のレリーフ作品に発展した。GALLERY SOAP「NEW ORDE」出品作である。
(2) 「GATE」連作に寄せた三津木の言葉。
(3) 2011年頃の制作メモから。2018年インドネシアのアーティスト・イン・レジデンス滞在中の作品、光の箱にも通じる。光の箱の着想は2009年だというので、光にまつわる作品の着想は、ほとんどアーティスト活動をはじめた頃から三津木のものだったとわかる。

 


略歴

 

1987年 福岡県北九州市生まれ
2009年 福岡教育大学 初等教育教員養成学科美術専修 卒業

個展
2017 「tablecross」Gallery MORYTA /福岡
2017 「tablecross」Gallery SOAP /北九州
2013 「三津木晶展」 画廊喫茶こもれび /北九州
2012 「三津木晶展」 画廊カンヴァス/飯塚
2012 「Aki Mitsugi Show」 SPITAL /北九州

グループ展
2021 NEW ORDER Gallery SOAP/北九州
2016 三津木晶・亀川豊未展 画廊香月/東京
2014 三津木晶・亀川豊未展 Gallery MORYTA /福岡
2012 塩井一孝・三津木晶展 Gallery MORYTA /福岡
2011 PANDEMIC HALATION Gallery SOAP /北九州

アートフェア
2019 ARTFAIR ASIA FUKUOKA  ; GALLERY MORYTA
2018 ART KAOHSIUNG (台湾・高雄) ; GALLERY MORYTA
2018 ART FAIR ASIA FUKUOKA ; GALLERY MORYTA
2018 ART FORMOSA (台湾・台北) ; GALLERY MORYTA
2018 Art in PARK HOTEL Tokyo ; GALLERY KAZUKI
2018 Infinity Japan Contemporary Art Show 日本無極限 TAIPEI(台湾・台北); GALLERY MORYTA
2018 3331 ART FAIR 2018 (東京)
2017 ART KAOHSIUNG (台湾・高雄) ; GALLERY MORYTA
2017 ART FAIR ASIA FUKUOKA ; GALLERY MORYTA
2017 Infinity Japan Contemporary Art Show 日本無極限 TAIPEI(台湾・台北); GALLERY MORYTA
2016 ARTFAIR ASIA FUKUOKA ; GALLERY MORYTA
2016 ART FAIR Sapporo ; GALLERY MORYTA
2016 ART KAOHSIUNG (台湾・高雄) ; GALLERY MORYTA
2015 ART FAIR ASIA FUKUOKA ; GALLERY MORYTA

アーティスト・イン・レジデンス
2018 ルマ・キジャン・ミヅマ(インドネシア/ジョグジャカルタ)